私が知るプラズマ切断機の遍歴
2022/05/16
私が知るプラズマ切断機の遍歴
私が初めてHypertherm社のプラズマを見たのは1980年大阪のあるステンレス加工されているお客様の水プラズマ切断「PAC-500」です。
当時勤務していた会社が初めて日本にHypertherm社のプラズマ切断機を販売したと記憶しております。
水プラズマとは、現在のシールドガスの代わりに水を使用してそのサーマルピンチ効果を使った切断手法です。
ご存じのようにステンレスは普通のガス切断で切断することが出来ません。
ガス切断に鉄粉を混ぜて切断するパウダー切断はありましたが。
このPAC500シリーズは、最大電流400A/600A、さらには電源2台を並列接続した1000Aもあり、大手製鉄所にも導入に行った経験が有ります。
600A迄は水槽定盤で水の中でも切断可能なのですが、750A以上は、ドライで切断しなければならず、1000Aは光、音共に強烈で後ろ向いてても
首が次の日にはひどい日焼けでかさぶた状態、見てないようで眼もやられて何度眼医者に行ったことか。
次にHT400というこれも水プラズマでしたが、酸素が使用できるようになり、プラズマ切断=ステンレスという概念が大きく変わったモデルが発売され、
軟鋼の切断のお客様にも導入されました。ただ、水を使用しているので錆対策の問題がありました。
エアープラズマ切断機
続いてエアープラズマ切断機が国内外メーカーも含め多くのモデルが発売され、一気にメジャーになりました。
日本では、ダイヘンやパナソニックのエアープラズマ切断機が有名です。
後に、このエアープラズマ切断機とテーブル門形式NC切断機、並びにCAD/CAMシステムとの組み合わせのシステムが空調ダクト業界で一気に広まりました。
それまでは、亜鉛鋼板に型で手書きで板取りして、大きなはさみを用い手動で切断していました。始めて行ったお客様のところで、職人さんの太い腕が記憶にあります。
CAD/CAMシステムでパターンと主要寸法入力するだけで、展開-ネスティング(板取り)-切断機用のNCデータ生成まで簡単に行え、
ここで生成されたNCデータをNC切断機に取り込んで切断します。この頃、いろんなメーカーが参入、一大ブームでした。現在でも使用されておりますが、製造しているメーカーは少なくなりましたね。
酸素プラズマ切断機
続いて酸素プラズマ切断機の登場です。過去の水シールドでは無く、エアーをシールドにしたドライのプラズマ切断機です。Hypertherm(ハイパーサーム)では、MAX100/200、HT2000が開発されました。今でも未だ稼動しております。
現在は後継モデルとしてMAXPRO200(200A)が発売されております。ハンドトーチとマシントーチ両方用意されており、ハンドタイプでは一番大きな出力電流(200A)のプラズマ切断機となります
この時のプラズマ切断機の技術革新は、電極ですね。いままで電極にはタングステンを使用していましたが、酸素ガスではすぐに溶けてしまいます。その欠点を補って開発されたのがハフニューム電極で、現在でも使用されております。
ただ、このハフニューム電極をもってしても出力電流400-500Aが限界です。
MAXシリーズと比較してHT2000はこの電極の寿命をより長くするLongLife技術が開発されました。
エアープラズマ切断機もモデルチェンジを繰り返してより小型化、高寿命、高精度な開発、ガウジングの対応、
FlushCutやHyAccessなどのユニークな消耗部品も開発され、革新を続けております。